ガイアフロー静岡蒸留所は2016年10月に稼働し始めた新しい蒸留所です。
自然豊かな山々に囲まれた場所に位置し、南アルプスから流れ出る伏流水が、この大地を潤し、
やがて大いなる安倍川へと姿を変え、駿河湾へと流れていきます。
蒸留所から車で少し走るとワサビ栽培発祥の地『有東木』があります。
大昔から水が綺麗だった事がわかります。是非、静岡蒸留所に行かれる際には寄ってみて下さい。
麦芽を粉砕するミルですが、閉鎖された軽井沢蒸留所で30年間使用されていた物を使用。
イギリス製で非常にタフで壊れないとの事です。ハスク3、グリッツ6、フラワー1の割合で粉砕します。
64度で糖化され3時間~4時間掛けて濾過された麦汁を今度は木製の発酵槽で発酵させます。
発酵槽は米松4台、地元の杉で作成した6台あります。※2020年9月訪問時点
杉の発酵槽を使用するのは静岡蒸留所が初めてとの事です。
ディストラリー初の仕込みの際には、なかなか発酵しないので窓も開けて空気中の乳酸菌を取り入れたとの事です。
金属製を使用するディストラリーが多い中、敢て木製なのは木に住み着く酵母や乳酸菌を取り入れる為です。
木樽由来の乳酸菌を取り入れてウオッシュの味に奥行きを与えるのが狙いです。
実際にメンテナンス中の空の発酵槽の匂いを嗅いでみると菌由来の香りがします。
発酵槽で3日~5日かけて6度~7度までアルコールの上がったウオッシュを蒸留器にかけます。
静岡蒸留所の最大の特徴である2台の初溜ポットスチルです。
まずは閉鎖した軽井沢蒸留所から移設したポットスチル
いまや「伝説」となった軽井沢蒸留所で使用されていた、標準的な蒸気による間接加熱の蒸留機。
ニューメイクの味わいは、軽やかで華やか、かつフルーティな味わいに仕上がるとの事です。
そして薪直火ポットスチル
スコットランド フォーサイス社製で世界で1台しかない、薪の直火で蒸留するポットスチルです。
ニューメイクの味わいは、ヘビーでパワフル、ほのかにスモーキーで、
香ばしい甘さをもった味わいに仕上がるとの事です。
薪を投入する部分はピザ釜を製造する会社に依頼したとの事です。
又、薪は地元の木を使用し乾燥も自社で行います。
こうして蒸留されたハート部分のニューメイクは
バーボン、ワイン、シェリー等の樽に入れられてオクシズの大自然でゆっくりと熟成されます。
エンジェルシェアは4~5%と多く、熟成が早いと思われます。
2020年9月訪問時には大々的な熟成庫は2つでしたが、見るからに飽和状態でした。
近々に第3熟成庫を建設するとの事です。
ファーストリリースは2020年11月の予定との事です。